天然農法と自然栽培
天然農法とは
天然農法とは、故・藤井平司氏が提唱した栽培学で、無肥料・無農薬の栽培に加え、『農=食=人』との重大な関係性を考え抜いた農による学問です。
<人と食>の関係とは、人間の生き様と作物の育成の関係であって、そこにはただならぬ関係があります。そこにおいて「食べもの」とは何か「生きもの」とは何かを考えることが大変重要です。
そのうえで人間とはどんな生き物なのか、その存在を知る必要があります。
なぜならば、人間が生きていくための“食べものは生きもの”だからです。
人と食との関係は
人と食との関係は、天然自然の中で生きものたちが<生きる>という切実な問題であり、それの本質を探究するには天然農法での<生きもの学>が必要になります。
すなわち<天然農法>は、自然の中で多種類の生きのもが複雑な組み合わせ、つまり個と<個と個>との関係をつくっている“共存の実相=天然現象”それを究明する学問です。
それは「食べものを作る」=「生きものを作る」という<食>の思想で無肥料・無農薬の栽培方法を徹底するということです。
そしてその技術は自然と人為の接点で相対化するものでなければなりません。
作って食べる
この地球上で人間だけが作って食べています。
その他の生き物は作って食べてはいません。いわゆる人間と動物の違いは『農』があるかないかです。
この人間独自の摂食行動により、人間は太古の昔からいのちを繋いできました。
この『農』の思想の根本原理は生命系を守るという生命観です。
この思想から外れると、人間の恣意的な共存共栄を享受する、適者生存の反自然性のものになってしまいます。
自然の中で植物が生長し、動物が育ち、微生物が生きているということは、人間だけがのうのうと繁栄することはできず、それぞれが少しずつ我慢をする『共存共貧』の生活で自然生態系を守ってこそなのです。
生きもの学的栽培学
現代に生きる私たちにとって、人間が人間らしく生きるために、この人間独自の『農』の思想を見直す時に来ているのではないか思います。
そのためには、生きることと技術との組み合わせによる「生きもの学的な栽培学」=天然農法がこれからの農業者にとって必要になると考えています。
その観点から、私は自然栽培に天然農法の栽培学を組み合わせた食生産を実施しています。